バーチャル・メディアラボ設立のご挨拶

−新しい電脳公共圏の構築に向けて−

1995年11月9日

三上俊治


Introduction to the Virtual Media Lab :
Toward the Construction of a New Cyber Public Sphere(CPS)

Welcome to the Virtual Media Lab ! This is the virtual think tank specialized
in social scientific media research. This hopepage provides a common platform of
internet navigation for the social scientists who are interested in media research
or communication research and who need the virtual resources for doing research
on the net. I hope you will add this homepage to your Netscape Navigator bookmarks.

 「バーチャル・メディアラボ」にようこそいらっしゃいました。私は本研究所のリサーチディレクターである三上俊治と申します。私の本業は東洋大学社会学部教授で、マスメディア論、情報環境論、社会調査法、情報処理実習などを教えております。ここで簡単に本研究所の設立趣旨とセンターの概要をご説明させていただきたいと思います。

 バーチャル・メディアラボは、もともと「メディアと現代社会」ホームページとして、1995年8月中旬にBekkoame/Internet上でスタートしました。その後、事情があって、9月上旬にリムネット(横浜)へ移転しましたが、このたび、装いを新たに「バーチャル・メディアラボ」(The Virtual Media Lab:略称VML)として再発足することになりました。この研究センターは、物理的な世界に実在する研究機関ではありません。あくまでも、インターネットという仮想世界(サイバースペースあるいはバーチャルワールド)の中だけに設置する共同利用方式の仮想シンクタンク(Virtual Think Tank)です。

 インターネット上には、すでにバーチャル・ユニバーシティ(仮想大学)やバーチャル・ライブラリー(仮想図書館)があることはよく知られています。じっさい、このバーチャル・シンクタンクも、こうした先例に大きなヒントを受けてつくられたものです。とくに、佐野さん@仮想大学と野村一夫さん@社会学の先駆的なホームページからは、さまざまな点で貴重なご教示をいただきました。心からお礼申し上げます。バーチャル・シンクタンクがインターネット上にすでにあるかどうかは寡聞にして知りませんが、少なくともメディア研究に関する人文社会科学的な総合的シンクタンクで、なおかつインターネット上だけに存在するという形態のものは、おそらくVMLが世界初ではないかと思います。もし他にもあることが分かれば、その時点で訂正させていただきたいと思います。

(追伸 November 22,1995: 念のため、YahooでVirtual Media Labを検索してみたところ、なんと同名のWeb Homepageが3つほど存在していることがわかりました。けれども、中身を見ると私の開設したホームページとは性格が異なるものであることがわかりましたので、名称はこのままで続けることにしたいと思います。)

 さて、少し学問的に敷衍しますと、バーチャル・メディアラボは、新しいタイプの「電脳公共圏」(Cyber Public Sphere: CPS)をめざすものとして位置づけることができると思います。つまり、インターネットという電子的コミュニティ(Cyber Society)において、一定のネチケットを守る人々が自由に利用でき、そこで情報の発信、相互交流を行うことの可能な空間だということです。パソコン通信の会議室なども、こうした新しいタイプ電脳公共圏と考えられますが、パソコン通信とは違って、インターネットのホームページ上に構築される電脳公共圏は、参加者がそれぞれ自分のホームページという「自宅」(ホーム)をもち、そこで情報発信しながら、かつこのバーチャル・メディアラボのようなサイバースペースの中で他のホームページ所有者と交流をはかることができるという点に大きな特徴があります。もちろん、自分のホームページをまだ持たない「ホームレス」の方も多くいらっしゃることは十分承知しています。そういう方でも、この電脳公共圏を利用することができますし、ホームページをもつまでのしばらくの間は、たとえばこのバーチャル・メディアラボを仮住まいのホームページとしてご利用いただくこともできるのです。その点では、バーチャル・メディアラボは、現時点では一種の「情報ボランティア」的な役割を果たすことができるかもしれません。

 VMLは、社会科学の研究者のために構築された「電脳公開研究公共圏」(Cyber Open Research Public Sphere: CORPS)の一つだといってもよいかと思います。略称CORPSは「コール」と発音してください。英和辞典によれば、「(行動を共にする者の)団体、(ドイツの大学の)学友会」とあります。本研究センターの精神をよく言い表しているではありませんか。くれぐれも、CORPSE(コープス)とは発音しないでください。これだと「死体」という意味になってしまいます。それはたぶん、Cyber Open Research Public Sphere Endsを意味するのでしょう。また、CORPUS(コーパス)とも呼ばないでください。これですと、「(文書・法典などの)集成、言語学的分析のために収集された一群のデータ」の意味になってしまいます。VMLは決して単なるデータベースではありません。いまはまだ単なる情報資源の共有と主催者の一方的情報発信の場にしかすぎませんが、将来はCGI機能をフルに活用して、インタラクティブな双方向コミュニケーションの場にしていきたいと思っています。こうした電脳公共圏というものは、情報環境の変化にともなって、必ず自己組織的な進化を遂げてゆくものです。本研究所もその運命を免れることはできないでしょう。

 さて、バーチャル・メディアラボは、いまのところ、主任研究員(リサーチディレクター)である私が単独で運営していますが、いまこれをお読みの皆様は、すべて本研究所の客員研究員(ビジティング・リサーチャー)になっていただいています。したがって、著作権に触れない限りにおいて、皆様は本センターの施設設備、サービスを自由にご利用いただけます。ご自分でホームページをもっていて、研究を公開してもよいという方はぜひメールでお知らせください。「客員研究室」をご用意させていただきます。また、ホームページをまだお持ちでない方は、ぜひNetscape Navigatorの「ホームページ」に本センターをご登録ください。きっとあなたの電脳空間でのネットサーフィンの最高のプラットフォームとしてお役に立つことでしょう。

 バーチャル・メディアラボ設立の目的は、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、電話、ケーブルテレビ、衛星放送、パソコン通信、インターネットなど各種のメディアと現代社会との関わりについて、社会学的あるいは社会心理学的な視点から研究し、また関連する情報資源へのアクセス手段を提供することにあります。単に現実の研究機関や民間シンクタンクを模したものではなく、現実世界での研究機関では実現不可能なオルターナティブな視点から、現代のメディアとその社会的機能を批判的に分析し、情報発信する場にしたいと思っています。

 研究テーマは、現在、が専門的な関心をもって研究しているものに限られています。テーマの数は今後次第に増やしていきたいと思っています。ここに収録する情報も次第に増やしていくつもりです。

 本研究所には「所長」、「理事」、「顧問」などの役職者はいっさいおりません。インターネットの世界は基本的に地位や身分の差別はいっさいない平等な社会であるべきだと私は考えています。とくに、学問研究という純粋な真理探究の営なみにとって、こうした地位は有害無益なものでしかありません。本研究所の構成員は、いまのところリサーチディレクター(主任研究員)である私ただ一人ですが、将来的には複数の研究員によって共同運営することも考えています。

 このホームページは、「研究所」+「付帯施設設備」という建築的メタファーでつくられています。あくまでも実験的な施設ですので、まだ建設工事中の部屋もたくさんあり、また大幅に改装したり、取り壊したりすることもあるかと思いますが、ご容赦ください。客員研究員の皆様から「こんな部屋がほしい」、「この部屋にはこんな備品を追加してくれー」といったリクエスト、あるいは、「こんな部屋を提供したい」「この部屋に入れるのにふさわしい設備・資料があるので紹介したい」といった要望、情報などがありましたら、ぜひメールでお知らせください。

 最後に、このホームページ作成にあたっては、いちいちお名前はあげませんが、インターネット上で関連するホームページを開発中の数多くの方々の貴重なご教示、助言をいただきました。改めて心からお礼申し上げます。これからも、バーチャル・メディアラボの存続、発展のためにご協力いただきますよう、お願いいたします。

                                

                                      

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